Gild the lily

二次創作の百合小説をでっち上げています。成人向けとそうでないのと。今のところ「ネギま」「マリア様がみてる」。

ghost in the school 3

 意外に手間の掛かった朝さよ編。とりあえず完結です。
 
 今回からブログ本体には載せず、SS置き場にのみ掲載します。
 どうぞー。

ghost in the school 2 [4/4]

 ここで私は、ちょっとしたジェスチャーを見せた。半口開けて私たちの会話に聞き入っていたさよちゃんに目配せし、窓の外を指さす。机に置いた手帳に殴り書きしたメモに一言、『ごめん。セキはずして』。
 さよちゃんを知らない人が同席しているときに使う、いつものやり方。理由も何も明らかにしないぶっきらぼうな伝言に、気を悪くした風もない。
「わかりました」
 私にだけ聞こえる声でそう言って、彼女は大きなガラスをすり抜け中庭へと飛び去った。こういう時の待ち合わせ場所は正門前に決めてあるから、はぐれてしまう心配もない。

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ghost in the school 2 [3/4]

 十分近く経って、ようやく彼女は3−Aの教室に戻ってきた。さよちゃんは例によって話をやめ、私たちのやり取りを見守っている。
「お待たせしました」
「ありがと。ごめんねー、手間掛けさせちゃって」
 手渡された三冊のファイルを受け取ったが、彼女は伸ばした両手を下ろすだけ。
「あれ? 戻らないの?」
「生徒会の仕事は終わりましたので。たびたび足を運ぶのも面倒ですし、ここで待たせてもらいます」
「ま、良いけどね。今度は大した時間掛からないし」
「そうですか」
 通路を隔てて私の右隣、いいんちょの席に腰を下ろす。不在の教卓に先生がいるかのように、その視線は正面から動かない。
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ghost in the school 2 [2/4]

 翌日。
 最後までお喋りに興じていたチアの三人も、いつの間にやら消えてしまった。放課後の教室で、私とさよちゃんは生徒会室から借り出した決算資料を広げている。こういうとき、席が隣だと面倒が無くて楽だ。
 うちの学校では、生徒総会の後に生徒会の決算資料が公開される。生徒会の会計に申請書を出せば、領収書まで含めて全ての書類が閲覧可能だ。
 ま、余程の物好きでもなきゃ、こんなものを見ようとは思わない。今年の総会後に閲覧申請を出したのは、私たちが最初だったと言われた。
「大して面白いもんじゃないからねえ」
「……え?」
「ああ、何でもないよ」
 ルーズリーフに貼り付けられた領収書の束を穴の空くほど見つめていたさよちゃん。気を抜いていた自分に反省し、確認作業に戻る。
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ghost in the school 2 [1/4]

「何を見てるんですか?」
 掌のコピー用紙に、木々に、煙に、雲。全てがはためき揺れる強い風の中。何よりも先に吹かれて消えそうな、でも誰よりも長くこの場所に在り続けてきた彼女の声。
「ああ、これ? 生徒会の決算書。この前の生徒総会で発表されたからね」
「何か気になるところがありました?」
「そんな真剣に見える?」
「はい、とっても」
「……ま、そんなに大したことでもないんだけどね。ここよ、ここ」
 私が指さす先を見ようと、さよちゃんが隣にすっと空中移動してくる。私は行儀悪く中庭の芝生に寝そべっているから、二人して横になる姿勢になった。
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ghost in the school(1)のおまけ

(注)ホームズ譚の初翻訳は1894年の「乞食道楽」(原題:The Man with the Twisted Lip)。さよが知らなかったのは、一般的な女子学生が好んで探偵小説を読む時代ではなかった、というだけです。 【“ghost in the school(1)のおまけ”の続きを読む】

ghost in the school 1−5

 私はどんな言葉を掛けることができるのか考えて、それが無駄だと気づいた。彼女の孤独は、十四歳の人間に理解できるようなもんじゃない。「離ればなれになっていくのはさよちゃんだけじゃない」とか「また会いに来るよ」とか、浮かぶのは何処からかの借り物みたいな台詞ばっかり。 【“ghost in the school 1−5”の続きを読む】

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ghost in the school 1−4

「え……いえ、別に何も……」
「さよちゃん、嘘つくの下手なんだから、ちゃっちゃと打ち明けちゃいなって」
 今の私の状況って、手の掛からない良い子に接する保護者に近いような気がする。決して悪いことはしないし言うこともきいてくれるけど、強引なくらい踏み込まないと本音を引き出せない。 【“ghost in the school 1−4”の続きを読む】

ghost in the school 1−3

「あれ、さよちゃん。待っててくれたの?」
 ひたすら視神経を酷使する校正作業が終わり、最新号の見本を一部持って出てくると、部室前の廊下にはさよちゃんがいた。身長は私の方がずっと高いけど、向こうは地上数十センチでふわふわ浮いているので目線は同じくらいになっている。 【“ghost in the school 1−3”の続きを読む】

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ghost in the school 1−2

 さて、心配してくれる彼女を押し切って、ついでに手足に細かい傷をつくりつつ雑草をかき分けかき分け入ってみる価値があったかというと。
「……」
「……」
 二人無言で顔を見合わせるしかないくらい、何もなかった。 【“ghost in the school 1−2”の続きを読む】

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ghost in the school 1−1

「双子ちゃんたちの話によると、このあたりらしいけど」
「あ、朝倉さん、やっぱりやめませんか? そろそろ暗くなりますし、危ないですよ……」
「あ、ここかな」
「え?」
 空に青々と陣地を広げる広葉樹。その下を行く私たちのもとに届く光は、主である彼らが食い散らかした後の残飯だけ。麻帆良学園の敷地は広大で、その中には図書館島が浮かぶ池もあれば、ここのような森に囲まれた場所もある。 【“ghost in the school 1−1”の続きを読む】

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